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snowfallのメモ帳

趣味に関することなどを適当に綴る備忘録兼用のメモ帳

D750 Capture NX-D & ViewNX-i quality test

Capture NX-DとViewNX-iの現像品質に関する総論

  1. Capture NX-DとViewNX-iの現像結果は同等
  2. 撮って出しJPEGとはグレーバランスが若干異なる
  3. 撮って出しJPEGとはヴィネットコントロールが異なる
  4. 色相の転びは誤差の範疇
  5. 撮って出しJPEGよりも解像度は劣る
  6. 撮って出しJPEGとは自動ゆがみ補正が異なる
  7. 結論

   *検証にはD750でRAW+JPEG(F)設定で撮影したデータを使用

PDCUの悪夢再び?

いつもの被写体を用いてこの純正ソフトを検証してみます。

 

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被写体は以前から使用しているマクベスのチャートと銀一のグレーカード(旧)、そしてロマサガ1の徹底攻略本。ちなみに初版です(版によって色味が異なる)。

 *詳細:ロマサガ関連アイテム〜攻略本:初版以降の変更点

なお、D750の設定は出荷時のデフォルトにほぼ準じたものでPC(ピクチャーコントロール)はSD(スタンダード)ヴィネットコントロールはN(標準)、色空間だけはAdobeRGBに変更。ただし、このページに貼り付けてある画像はPhotoshopでsRGBに変換したものになります。感度はISO100、光源はLED電球(東芝キレイ色:LDA9N-D-G)、WBはマクベスのWBカードでのプリセット。レンズはNikon AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRで焦点距離50mm、絞りはF8.0で撮影を行いました。

 

1. Capture NX-DとViewNX-iの現像結果は同等

まずはRAW現像ソフトであるCapture NX-D 1.3.0(以下NX-D)とあくまでビューアであるViewNX-i 1.1.0(以下View)の現像(変換)に差異があるのか。それぞれ設定は変更せずデフォルト(撮影時の設定)のまま現像したものを比較してみます。

 

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左がNX-D、右がViewでJPEG(最高画質)で現像したもの…全く同じものに見えますね。

 

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等倍で切り出してみましたがやはり差異があるようには…

 

f:id:snowfall_2015:20160102231529j:plain

さらにわかりやすくするためPhotoshopで400%(ニアレストネイバー)に拡大してみたもの。ここまでくるとドットレベルで揃っていることがわかります。恐らくは同じエンジンを使用しているのではないでしょうか。レイヤーで重ねて切り替えても全く違いがわかりません。正直バイナリレベルで一致するかと思ったくらいです(さすがにしませんでしたけど)。

この結果はTIFFでも変わりません。

と言うか、最高画質であればJPEGTIFFもほぼ同等。確かに300倍以上に拡大すれば暗部などでノイズによる影響と思われる差異を確認することはできます。しかし等倍ではほとんどわからず実質的には同等と見なしてしまって問題ないレベル。その後にレタッチをするわけでないのならTIFFで現像するメリットはほとんど無いと考えてよさそうです。

 

2. 撮って出しJPEGとはグレーバランスが若干異なる

ではNX-DでもViewでも差異がないことがわかったところで今後はNX-DのJPEGを用いてD750の撮って出しJPEG(以下D750)との比較に移ります。

 

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比較に使うのはここ。マクベスチャートの22. netural 5

  *詳細:Colorchecker Classic: X-Rite Photo

 

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等倍で切り出したものがこちら。D750の方はBが強く、NX-Dの方はGが強い。なおかつD750の方がRは1、Bは2高い(明るい:項目3にて後述)ことがわかります。

このポイントでWBを取ったわけではないためどちらが正確かの評価はできません。しかし、感覚的にNX-Dは緑被り的ニュアンスを感じます。これは以前、同じSILKYPIXエンジンを採用したPENTAXのPDCU(PENTAX Digital Camera Utility)でも感じたことでした。

 *詳細:色と解像度と K-5編 その4

前回は光源が蛍光灯(三菱色評価用蛍光ランプ:FL20S N-EDL NU)だったことからいわゆるグリーンスパイク(色評価用でも存在する)の影響と推測しました。

しかし今回の光源にはグリーンスパイクは含まれず、むしろ赤の波長が強くなる傾向があることを考慮すると、このGの強さは不自然です。

 *参考:照明器具とその演色性(スペクトグラム) / 佐々木ヴァイオリン製作工房

 *参考:人肌を美しく、花を生き生きと見せるLED照明器具 - 家電Watch

 異なる光源、異なるカメラでも同様にGが強く出たことから、これはSILKYPIXエンジンの癖と考えるのが妥当でしょう。

被写体が自然の草木など緑主体であればプラスに作用するかもしれません。しかし人物では肌色が悪くなったりその他の被写体でも軽い緑被り状態になるため、カメラ撮って出しと併用するのであればこの点は十分考慮しないと統一感が乱されちゃうかもですね。

 

3. 撮って出しJPEGとはヴィネットコントロールが異なる

カメラのヴィネットコントロールをNに設定したRAWをNX-D(View)で現像すると、明らかに明るさが異なることに気付きます。最初は露出が変わるのか?と思いました。しかし実際に異なるのは露出ではなく、ヴィネットコントロールの効き具合のようです。

 

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比較のためPhotoshopのレベル補正でハイライトを220まで落とし白飛び具合をチェックしてみます。

ご覧の通り、中央付近はほとんど変わらないのに周辺は全く異なる結果となりました。露出の差異だけであればこのような結果になるとは考えられず、ヴィネットコントロールの効き具合に差異があると考えるのが妥当です。

 

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ではNX-Dのヴィネットコントロールを強めてみたらどうなのか。試しに最大の+200で現像してみたものが右側です。

確かにデフォルトの+50よりは周辺が持ち上がってはいるものの、まだD750には及びません。

 

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ならば同時に露出補正も行ってみたらどうか。最小の+0.05だけ上げてみたのが右側です。

今度は中央付近の露出がD750を越えてしまいました。

それでも未だ周辺はD750未満。つまり全体の露出を上げても同等にすることはできず、あくまで周辺の露出のみ上げる必要があるということです。+200でも足りなかったことを考慮すると、恐らく数値的には+300以上の補正が必要なのではないかと推測できます。

しかし、前述の通りNX-Dで設定可能な最大値は+200まで。つまりNX-D単体ではD750のヴィネットコントロールを再現することは不可能。同等の状態を求めるならばPhotoshopなどの後処理で周辺を持ち上げてやる必要があります。

 

レンズや焦点距離によって効き具合は変動すると考えられるため、今回の結果だけでどちらがより適切な補正となるのかまでは判断できません。

しかし、D750とNX-Dの結果が異なることは間違いありません。前項のグレーバランス同様、把握しておく必要があるでしょう。

 

4. 色相の転びは誤差の範疇

既にここまでの検証で色味ほとんど変わっていないことはわかっています。しかし数値上ではどうなのかを確認しておきます。

 

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以前K-5で行った時同様、撮って出しJPEGとの差異はほとんど1度以内とほぼ誤差の範疇でした。色味の再現性については優秀と言っていいと思います。

ただ、前項で述べた通りグレーバランスは異なり、仮にD750に似せた場合に変化する色相は1度程度。たった1度でも変化が無いわけではありません。

にしてもこのRの転びっぷりは…Nikonって感じだなぁ。赤が朱に転ぶんですよね。D300もそうでした。

//160220追記

一覧表にNL以外の値と撮って出しJPEGとの差異も追加

 

5. 撮って出しJPEGよりも解像度は劣る

それでは最後に解像度の確認を。これまたPENTAXのPDCU同様、本当にカメラ内現像に劣ってしまうのか。それを検証します。

 

f:id:snowfall_2015:20160104115220j:plain

比較に用いるのはこの四角で囲った2箇所。差異を際立たせるため、数倍に拡大(ニアレストネイバー)したもので確認します。

 

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まずはSFCロゴから。左上のスキャナ(2400dpi)で取り込み縮小してサイズを合わせたものを基準とし、その差異を確認します。カメラ側の拡大率は300%です。ACRのシャープはデフォルトの25、カメラプロファイルはCamera Standardです。条件を揃えるためレンズ補正は色収差だけonとしてあります。

こうして見るとK-5IIsの時ほどはっきりとした差異があるわけではありませんでした。ただ、比較するとやはりNX-Dは網点の情報が他より拾えていないというか、いわゆる塗り絵的ペッタリとしてしまっている感がありますね。それが最もわかりやすいのがシアンの部分でしょうか。ここの白点が周囲に溶け込み気味な印象です。

しかしEXPEED 4の処理能力の高さによるものか、シャープネス効果があるにせよ撮って出しJPEGの解像度がACRに匹敵、下手すればそれ以上かと思わせるレベルであることには驚きです。

 

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次にレイピアのガード付近の描写を確認。カメラ側の拡大率は200%です。

この部分で見るとD750は線が太く出ていることがわかりますね。これは典型的な撮って出しJPEGの傾向でD750もその例に漏れないということのようです。

対してNX-DとACRにはそれが無くPCでRAW現像をするメリットを感じさせてくれます。ただNX-D側は赤の網点情報を拾った影響か、収差っぽく縁取りしたようなラインが若干気になりますね。とは言え線の締り自体はD750よりも良好と見なして問題ないでしょう。

しかしブレード部分を見るとまたも網点の塗り潰し感が出てしまっており、ACRはもちろんD750にも劣る印象で、これは全体を通して見ても同様です。

 

6. 撮って出しJPEGとは自動ゆがみ補正が異なる

//160212追記

後日の検証で自動ゆがみ補正の結果も異なることがわかりました。

 *詳細:D750 Auto Distortion Control test

後処理の難度からするとある意味前述の項目よりも厄介な差異と言えそうです。

 

7. Nikon純正RAW現像ソフトについての結論

PC各設定の比較(リンク先にオリジナルサイズあり)。ざっと確認する限り設定が変わっても傾向は同じでした。

 

率直な感想を述べるなら、またSILKYPIX塗り絵なのか…って感じです。

確かにPDCUの時よりはマシ…のようにも思いました。しかし現像結果はビューアであるViewNX-iと変わらず、若干とはいえD750と比較すればはっきりと把握できるレベルでグレーバランスがGに転び、ヴィネットコントロールは調整しても揃わない。色相はほぼ再現できているものの逆に言えばまともなのはこれだけで、解像度は撮って出しJPEG以下。

そしてトドメとばかりに現像ソフトとして非常に使いづらい。表示が遅く調整結果を見比べたい時にとてももたつく。と言うかプレビュー高速化オプションをon(確かデフォルト)にすると毎回プログレッシブ表示になるのは何の冗談なのか。途中にモザイク画像が入ってしまうために調整による差異の把握が非常にし辛く微妙な調整など不可能。正直こんなもので調整作業を行いたいなどとは思えません。

となると精々撮影後にPCやWB変更できること、16bitのTIFFで出せる程度しかメリットのない典型的なオマケソフトということに。しかし、その結果も多くの項目で撮って出しと異なってしまうとなると、もはやオマケとしてもお粗末なものと言わざるを得ません。結局再調整が必要になるのでは何のための純正なのか。その存在意義が問われる根本的な問題ではないでしょうか。

かつてPDCUの検証を行った際、それまでの所有機で純正現像ソフトによる結果が撮って出しJPEGに劣るのはPENTAXだけでした。しかし今回、Nikonまでもがそれに続いてしまったことが非常に残念でなりません。そしてそのどちらもエンジンに共通点があることに因果を感じます。

正直SILKYPIXの品質がどうかやどのエンジンを採用したかなどということはどうでもいいことです。ですがNikonともあろうものが純正現像ソフトを劣化させたことには失望しました。今後のアップデートで少しは改善されることを望みます。

 

…ってか、別物だからNX2使ってた人は設定すら引き継げないし。有償で販売してたのに無責任過ぎるよねこれ。自分とこじゃまともにソフト開発できないならAdobeに完璧なプロファイルデータ提供して組み込んで貰うとかやって欲しいわ~って感じ。

 

//160212

項目6に自動ゆがみ補正に関する記述を追加

//160220

項目4にNL以外の値と撮って出しJPEGとの差異も追加

 

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