D750 SNR test vs K-5IIs
K-5IIs比でのD750 SNRに関する総論
*RAW撮影、印刷はせずモニタでの表示前提
大雑把にまとめると大体こんな感じになりました。なお、これは上記の通りRAW撮り印刷は考慮せずという前提に基づくものです。また、少し前からFlickrを利用するようになり画像サイズの縛りも無くなったことから等倍での描写を基準に評価を行っています。JPEG撮り紙焼き(印刷)がメインという方とは随分と異なってくると思いますので注意下さい。
1. 数値上のSNR改善は精々1段で過度の期待は禁物
ではいつも通り実写データを元にSNRチェック…の前に、今はDxOっていう有り難いサイトがあるのでその確認から。
…これじゃリンク先飛ばないとわからんがな~。
ってわけで該当するグラフの部分を抜粋。なお前述の通り印刷は考慮せず参照するのはScreenの値のみです。
そしてこれはグラフの数値を表にまとめたもの。参考値として以前所有していたD300や現行機種のD7200/K-3IIも並べてみました。右はSNR順に並べたものです。
ふーむ、なるほど。こうして数値で並べて見る限り、K-5IIsに対しては大体1段程度。フルサイズでもさすがに2段は無いんだな~って感じですね~。過剰な期待は禁物、あんま夢見すぎんなよ?って感じ?
ただK-3II比になると話が別で、これだけはかなり2段に近い差になっています。というか、リアレゾという飛び道具はあるけど素の性能は厳しい感あるって感じかなぁ?でもまぁ、その分K-3系からだと文字通り段違いのSNRを体感できることになりそうですね。
と、だらだらとまとまりなくなってきちゃいましたがこんな感じでたかが1段されど1段、十分凄いことではあるけれどフルならどんなに高感度でもノイズレス!なーんて甘い話ではないぞ~ってことみたいです。
2. 画素数の差異も実描写に大きな影響を与える
数値で見る分には1段なるほど。でも実描写だとそれはどんな感じになるの?ってのは結局確認しなきゃわからない。てなわけで、やっぱり実際に撮影したデータの比較もやってみました。
今回の被写体はこちら。これをできるだけ画角を揃えた状態(35mm換算時約50mm)で撮影し、各感度での描写の変化を見ていきます。ちなみに今回は全てACRで輝度NRゼロ、レンズ補正無しのデフォルト状態で現像したものを用いました。以前はカメラの撮って出しJPEGなども比較を行っていましたが、結局使うことはほとんど無いため今回からは行いません。
そしてこちらが比較用に画像の一部を切り出し感度順に並べたもの。リンク先に等倍のオリジナルサイズがありますのでそちらをご参照下さい。
なるほどなるほど~。右側の木目描写を見るとよくわかりますが、ほぼSNRの数値通りにノイズが増えてきますね~。機種が違えど数値が近ければほとんど同じような感じです。
しかし、その一方で興味深いのがツイーター側の描写。こちらも当然木目側と同じくSNR低下と共にノイズは増加しているものの、ディテールの消失には大きな差異がある。
ドーム部分の折り目の描写にご注目。K-5IIsでこれがそれなりに描写できているのはISO1600まで。3200からはノイズに埋もれ始め12800でほぼ消失。25600ではノイズと区別が付かないレベルになっています。
それに対しD750は6400でK-5IIsの1600以上、12800で3200以上、25600で6400以上、そして51200に至ってもK-5IIsの12800と25600の間程度のディテールが残っており、明らかに1段を超える描写力を有していることがわかります。
この理由は単純で、1628万画素(3264x4928)のK-5IIsに対し2432万画素(4016x6016)のD750の方がよりディテールがノイズに塗り潰されづらいからでしょう。あまり歓迎されることのない高画素化。でもSNRが同等ならば実描写上のSNRはそれ以上となるため決して悪いことばかりではないってことかな。まぁ現実にはSNRが低下することもあったりしてそう単純な話では無かったりするけど…
ともあれ、こんな感じで数値上のSNR改善は1段程度だったものの、画素数の効果で実描写上のSNRはそれ以上となっており、実質的には1.5~2段以上と表する人がいるのも納得の結果。ふ、フルサイズ買ったのに1段しか違わない…なんてがっかりせずに済みそう?
3. 色の転びはD750の方が緩やか
等倍での実描写比較が終わったところで、次は高感度での色転びを全体像を見ながら確認してみます。
ISO6400以上を高さを揃えてリサイズし並べたもの。こちらもリンク先にオリジナルサイズがありますのでそちらをご参照下さい。
これを見るとK-5IIsで大きく色が転び始めるのはISO12800から。そこからどんどん転んでいって51200じゃ大昔のデジカメ?って感じの色とノイズで塗り潰されべったべたの描写に。
対するD750は25600から転び始めるものの、数値からイメージするほどでもなく思いの外緩やかな変化。左下の背面になるパネルとか見ると確かにノイジーになって変色し始めてはいるんですが、肝心の被写体部分は意外なほど安定してる感じですよね。これなら後処理する場合も楽。高画素のお陰でディテールの残りも良いですし、やはり数値上の1段以上に実描写上のSNRは高いと考えても問題無さそうです。
しかしK-5IIsだって51200でこれだけ描写できちゃうわけですからね~。普通にDYNAUDIOのロゴとか認識できちゃうし、今のデジカメって凄い。
4. DxOMarkの値はとても参考になる
DxOが公開している数値については賛否両論あり、現実に即していないとの否定的意見も根強いようです。
しかし今回実機を用いて数値と実描写の比較を行った結果はほぼ数値通り。画素数と合わせて考察することでかなりいい線まで推測できそうなので、今後も積極的に使っていきたいところです。
5. D750のSNRに関する結論
最初DxOの数値を見た時の率直な印象は「フルサイズって言ってもこの程度なのか」でした。確かに1段の差は小さくはないものの、世間で言われるほどの優位性があるとは思えなかったからです。
しかし実写データを比較することで実描写には画素数も関与しSNR値だけでは判断できないことが判明。なるほど確かにこれなら1段以上と評されるのも納得です。これだけの差異があるならK-5IIsから乗り換えるだけの価値はあるでしょう。私のところでも大いに活躍してくれそうです。
そしてDxOMarkの値はとても参考になるがそれだけでは判断できないこともよくわかりました。単体ではなく画素数と組み合わせて考える必要があり、それによってかなり実描写に近い状況を推測することができそうです。関心のあるカメラを全て入手しテストすることなど不可能ですから、活用させて貰えば非常に参考になることでしょう。
なお、これはあくまでSNRに関する結論です。D750に対する総評ではありませんのでその点ご注意を。その他要素については別途記事を作成していく予定です。
…データ取りが大変だわ。
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