SEL2470GM vs SEL24105G - SONY standard zoom lens test2
SEL2470GM vs SEL24105G - 2本の標準ズームを比較する
SONYのEマウント標準ズーム、FE 24-70mm F2.8 GM (SEL2470GM)とFE 24-105mm F4 G OSS (SEL24105G)。この2本はスペック的に重複する部分が多く、共に評価も高いことからどちらを選択すべきか悩む人も多いレンズではないでしょうか。そこでこの2本は何がどう違うのか。両レンズ所有者の立場から考察してみます。
1.スペックや外観、操作感
1-1.各レンズスペック比較
1-2.外観及び操作感
2.解像度
2-1.24mm
2-2.35mm
2-3.50mm
2-4.70mm
2-5.105mm
3.周辺減光
3-1.24mm
3-2.35mm
3-3.50mm
3-4.70mm
3-5.105mm
5.ボケ
5-1.前後ボケ
5-2.玉ねぎボケ
今回比較に用いるのはSEL2470GMとSEL24105Gの2本。それぞれのスペックや実写データ、実際に使用してのフィーリングを交えつつ考察します。
なお、既に両レンズ共に素晴らしいレビューが存在します。そのためそれらのレビュー内容は踏まえた上で、同一条件で比較したらどうなるか。また個人的に気付いた点について述べるという形で進めていきます。当記事に目を通す前に、まずは以下のレビューをご一読下さい。
また、これはあくまで私個人の運用に基づく見解です。運用方法が異なれば判断が大きく異る可能性があることはご了承下さい。
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1.スペックや外観、操作感
1-1.各レンズスペック比較
それではまず各レンズのスペックから確認してみましょう。SEL2470GM比でプラスになる項目は赤、マイナスになる項目は青で表記してあります。
・焦点距離
これはワイト端はどちらも24mmで変わらないものの、テレ端が70と105と明確に異なりSEL24105Gの方が71-105mmまでの+35mm分長くなります。これは望遠としては大きな差ではないものの、後述する最大撮影倍率に影響するため無視できない差です。
・F値
これはどちらも変動しない通しタイプであることは共通。しかしSEL2470GMはF2.8、SEL24105GはF4.0と開放値は明確に異なります。F2.8からF3.5までの明るさはSEL2470GMでしか得ることはできず、同等のF4.0にした場合も絞った状態であるSEL2470GMに対しSEL24105Gは開放。光学性能的にも当然絞った側に分があります。ここはF2.8通しであるSEL2470GMの絶対的な優位点と言えるでしょう。
・最短撮影距離
これについては全くの同等で実際試してもその差は誤差の範疇。よく「SEL24105Gは寄れる」と評されますが、実は被写体との距離自体は変わらないのです。
・最大撮影倍率
異なるのがこちらでSEL2470GMの0.24に対しSEL24105Gは0.31。この0.7の差は非常に大きく、後述しますが実際に撮影すると明確に「寄れる」といった印象を受けます。これがテレ端の差35mmによって生じるものであり、この2本のみならず全体を通じて寄れない傾向のあるSONYレンズ群の中でSEL24105Gが持つ大きな優位点。「寄れる」レンズが欲しい場合にも有力な選択肢だと言えます。
・手ブレ補正の有無
これはレンズとボディ両方で補正するSEL24105Gの方がより強力なだけでなく、ファインダー像も安定するのは撮影時の大きなメリット。スイッチが外部にあるため切り替えやすく、操作性にも優れます。
・最大経
これは-4.2mmとその差は僅か。使用していて意識することは少ないでしょう。ただ、その分フードのサイズにも差異があるため取付時に受ける印象は異なります。
・長さ
これは-22.7mmと17%近く短くなっており、重心的な面からも取り回しの良さを感じます。
・重量
実に223g(25.2%)もの差異がある上、レンズという支点から離れた位置の重量なため、手にすると数値以上の違いを感じます。SEL24105Gも663gと軽量級ではないものの、小型ボディのα7シリーズには明らかにバランスが悪いSEL2470GMよりマッチしていると言えるでしょう。
・価格
これは2018年3月時点の実売価格で15~16万程度(29-40%)の差異があり、決して小さくはありません。予算とよく相談する必要があります。
こうして見ると、似通っているようで実際はそれなりに差異があることがわかります。特に明るさ、最大撮影倍率、サイズと重量、そして価格は使いこなしでどうにかできるものではありません。これらの点で問題がない、もしくはより適した側を選択する方が良いでしょう。
1-2.外観及び操作感
次に両レンズの外観や操作感について。
発売時期が近いこともあってか外観は非常に似通っており、まるで同一シリーズのバリエーション違いのよう。違いはサイズとバッジの色だけのようにも見えます。
が、やはり最上位のGMとGは似て異なるもの。実際に手にすると細部の違いに気付きます。
まず最初に気付くのがズームリングのフィーリング。SEL2470GMの動きは適度なトルク感がある上非常に滑らか。イメージとしてはMFレンズのフォーカスリング的なフィーリングであり、微調整も容易に行なえます。
もちろん質感という面でも素晴らしく、作りの良いレンズを手にしていることを実感させてくれます。
対してSEL24105Gにはそれがありません。よくある「今どきのレンズ」といった感じである意味「ガサガサ」しているというか、乾いた感じでしっとりとしたトルク感などはありません。誰が手にしてもGMの方が質感があると感じることでしょう。
ただし、これはあくまで質感の話であって、実用上何か問題があるような差異ではありません。もちろん微調整はGMの方がしやすいことは事実ではありますが、それは使っていて問題になるようなレベルの話ではありません。あくまでその更に上の領域での話であるとご認識下さい。
むしろ、はるかに重要度の高いフォーカスリングはどちらもバイワイヤ仕様であり、その操作感の差異は直径からくる差程度しかありません。MF時に優劣を感じることは無いでしょう。
次に外観上の質感。GMもGも鏡筒には樹脂と金属両方が使用されており、外側は樹脂になっています。この仕様は外観を見る限り恐らく共通で、この2本が非常に似通っていると感じる原因でしょう。
が、実はここにも差異があり、GMでは消えているパーティングラインがGでは残っています。この仕上げの差はコストダウンによるものと考えるのが妥当でしょう。Gではこうして細かい点でもコストを抑える工夫がなされているようです。
もちろん、これはズームリングの挙動以上に実用上は問題にならない、と言うか全く関係のないことです。バッジの色違いと同じで質感の印象にしか影響しません。Gがコストダウンされていると言うより、GMがこんな仕上げまでこだわっていると評するべきかもしれません。
質感についての最後はフード。実はこんなところにも差異がありました。
SEL2470GM用のフードALC-SH141には内部反射防止に植毛シートが貼り付けてあり、その効果も高い仕様になっています。
対してSEL24105G用のフードALC-SH152はつや消し塗装のみ。当然反射防止効果は植毛仕上げに劣ります。手持ちのSONYレンズだとSEL1635Zと同様の仕様であり、これもまたコストダウンの一環でしょう。
また、取り付けがGM用はボタンでロックを解除するタイプなのに対し、G用は普通のカチリとはめ込む通常タイプです。これは長期使用時の摩耗に対する耐久性に影響を及ぼす可能性があり、フードがガタガタになった経験がある人には気になる点かもしれません。また、ボタンタイプの方が着脱もスムーズです。
これも前述の項目同様、実用上クリティカルな問題になるようなものではありません。しかしこのような点でもグレード(コスト)の差異を見て取ることができました。
最後がサイドスイッチからくる操作感の差異。こちらもスイッチやボタンの仕様は共通しており、異なるのは手ブレ補正スイッチの有無だけです。
しかし、実はこれが操作性に大きな差異を生じさせています。SEL24105Gは外部スイッチがあるため一瞬で手ブレ補正のon/offが可能であり、三脚など補正を切り替える必要がある場面でも手間取りません。
対して元々手ブレ補正を内蔵していないSEL2470GMはボディ側のメニューから切り替えねばならず、これが地味に面倒。分厚いグローブをしている冬場などは余計に手間取ります。
これはレンズの差というよりボディ内手ブレ補正タイプのウィークポイントと言うべきかもしれませんが、レンズ側のスイッチで一気に切り替えられるSEL24105Gは操作性に優れたモデルと言えます。
このように外観や操作感からもGMは質感があり、よりグレードの高いモデルであることが実感できます。コストがかかっているだけのことはあると言えるでしょう。
ただ前述の通り、これらはあくまで質感に関わる話であり、実用上の影響は皆無か誤差の範疇と切り捨てても問題のないものばかり。重要度は低く「高級感」の差異でしかないと考えて問題ありません。
むしろ実用性という意味では手ブレ補正スイッチの有無。この方がはるかに重要です。デザインを重視したのか、SONYは手ブレ補正内蔵タイプのZシリーズでも切り替えスイッチは取り付けず、ボディ側のメニューで切り替える仕様になっています。しかしカメラに限らず上級機ほど物理ボタンやスイッチが多いのは、その方が操作性に優れるからです。そういった意味でSEL24105Gはより実用性に優れた仕様と言えるでしょう。
2.解像度
次に両レンズの解像度を比較して行きます。ボディはα7II(24Mpix)を用い三脚に固定して撮影。レンズ補正は3種(歪曲収差/色収差/周辺減光)ともオート。RAW+JPEGで撮影したJPEGを用います。CSの設定はStd-2+2±0です。
画角は極力揃うようにはしたものの、やはり多少のズレはあります。また歪曲収差補正の影響もあることをご認識下さい。
残念ながらピン位置を完全に合わせることができず、完璧な比較検証とはなっておりません。またその影響のため、一部焦点距離では異なる箇所で比較を行っています。
なお、この日は風があり雲の動きが早く、日照条件が完全には統一できておりません。極力条件が揃うように努力はしたものの、後から撮影したSEL24105Gの方が若干良い条件になっています。
2-1.24mm
比較するのは中央、右端、そして左上の3箇所。この赤枠で囲った箇所の描写を等倍で確認します。
中央はどちらも極めて優秀。開放からモアレが発生しており、センサーの解像度を完全に上回っていることがわかります。さすが4000万画素時代のレンズ。2430万画素のα7IIではほとんど差異が見出だせません。
右端も中々に優秀。特にSEL2470GMは開放から締りが良い上、絞ることで更に改善していきます。SEL24105Gは開放で甘さを感じさせるも絞ることで改善。若干色収差の影響らしきものが残るものの、絞った状態ならGMに見劣りしないレベルです。
最もレンズの端になる左上も同様に優秀。やはりSEL2470GMの方が優秀ではあるものの、24105Gも十分な性能を有してることがわかります。Gの方はノイジーさがありますが、これは周辺減光補正の影響によるものでしょう。
2-2.35mm
続いて35mm。比較箇所は同様に赤枠で囲った箇所です。
これも24mm同様どちらも極めて優秀。開放から十分な解像度を有している上、絞ることで更に締まりが良くなる印象です。若干SEL2470GMの方が精細さに優れる印象ではあるものの、気象条件が一致していない影響かもしれません。
右端も十分に優秀。さすがに開放では甘さを残すものの、どちらも絞ることで改善。ただ、開放だとSEL24105Gは24mmの時より甘さが目立つ印象です。とは言え絞り込むことでGMとの差異は収束して行きます。
左上の印象もほぼ同様。ただ、SEL2470GMは若干後ピンだったのかF4.0付近までは甘さが見て取れますが、その後絞り込むことで改善しています。SEL24105Gは開放から悪くはないものの、絞り込んでもあまり変化は無いようです。
2-3.50mm
続いて50mm。今度は中央、左端、左上です。
中央はこれまたどちらも優秀。やはりSEL2470GM側が優れている印象ではありますが、どちらも壁面にモアレが発生していることからセンサーの解像度を上回っていることは確実です。
左端も開放からモアレが発生しており、十分な解像度を有していることがわかります。柵の描写がF5.0以降はSEL24105Gの方が精細に見えるものの、壁面のモアレ発生具合からSEL2470GMの方が解像度が高いと推測できるため、日照条件の差異によるものかもしれません。
左上も同様でどちらも優秀。あえて言うならやはりSEL24105Gには色収差の影響が残る印象があります。とは言えF5.6以降はほぼ同等レベルの描写です。
2-4.70mm
次は70mm。この焦点距離ではSEL2470GMが後ピンとなってしまったため、それぞれ異なる箇所での比較となります。
やはり中央はどちらも優秀。そしてSEL2470GMの方が一枚上手なのも同様です。
しかし右端では状況が変化。SEL2470GMは絞ることで改善はするものの、F8.0まで絞っても甘さが残ります。対してSEL24105Gは開放から安定しており、絞ることで更に改善して行きます。
左上と右上。こちらも右端と同様SEL2470GMは全体を通じて甘さが残るのに対し、SEL24105Gは安定しています。
2-5.105mm
最後に105mm。こちらはSEL24105Gのみとなります。
今までの焦点距離同様、開放では多少甘さがあっても絞り込むことで改善。このタイプのズームでは弱い傾向があるとされるテレ端でも非常に優秀で、LensRentalsでの評価も納得の描写。これなら積極的に常用域として使うことができそうです。
総じて言えることとしては、どちらも非常に高性能なレンズだということです。以前比較したSEL2870やSELP1650とは段違いの解像度を有しており、さすが4000万画素時代の標準ズームと評することができるでしょう。
ただ、W端側に強くT端側では中央偏重のSEL2470GMに対し、全域で平均的に優れT端でも落ちない優等生なSEL24105Gと、それぞれ性格は異なります。
4. 周辺減光
次に両レンズの周辺減光を比較します。ボディのレンズ補正(周辺光量)on/offそれぞれの設定で撮影を行いました。
3-1.24mm
24mmではどちらも周辺減光が目立ち、特にSEL24105Gは非常に大きなものとなっています。しかも絞り込んでも改善は遅く、F8.0まで絞ってようやくと言ったところです。補正無しではかなり使いづらいでしょう。
3-2.35mm
35mmでは大きく状況は改善され、補正無しでもそれなりといった印象です。ただ、依然としてSEL24105Gの方は減光が目立ちます。
3-3.50mm
50mmまでくるとSEL2470GMは開放以外はほとんど気にならないレベルとなり、これなら補正無しでもあまり変わらない印象。対してSEL24105Gは相変わらずです。
3-4.70mm
70mmになるとSEL2470GMは補正の有無でほとんど変化が無い印象。対するSEL24105Gは今までより絞り込むことによる改善は早くなっているものの、減光自体は相変わらずな印象です。
3-5.105mm
そしてT端の105mmでもその印象が変わることはなく、最後まで減光が目立つ結果となりました。
SEL2470GMはW端では補正が必要。そしてSEL24105Gは全領域で必須と言えそうです。減光補正はノイズ増加というデメリットを伴うため、周辺部はどうしてもノイジーになることを理解した上で用いる必要があります。
なお、α7IIでは周辺減光補正の設定がRAWにも反映されます。恐らく現行αシリーズでは共通と考えられますので、理解した上で設定する必要があります。
また、SONYはある程度の自然な減光は残すチューニングなようで、補正をonにした場合もJPEGは完全にフラットになるわけではありません。RAWから現像する場合はその点も理解しておいた方が良いでしょう。
個人的には好ましいチューニングと感じるものの、補正レベルをユーザーが設定できる仕様ならより良いのではないかと思います。
4. 歪曲収差
次は歪曲収差を比較します。設定をonにした状態のJPEGとAdobe Camera RAW(ACR)で補正をoffにしたものを比較します。
これもまたどちらのレンズも無補正ではかなりの歪みが存在し、補正が必須であることが見て取れます。特にSEL24105GのW端はかなりの歪みでちょっとした魚眼レンズのようで、とても無補正で使い物になるとは思えません。レンズ補正が強制的にonになりoffに設定できないことからも、SONYの基準でも補正が前提の仕様だと思われます。
ちなみにこれだけ補正が大きい(=トリミングされている)と、撮影範囲が狭まってしまうのではと思うかもしれません。しかし実際に24mm同士で比較してみると補正が小さいSEL2470GMの方が狭く、SEL24105Gの方が広くなっています。このことからSONYは補正後の状態を基準としていると考えられ、スペック通りの焦点距離は確保できていると判断して問題ないでしょう。
歪曲収差補正は変形による解像度の低下は発生するものの、むしろ不自然に歪んだ状態を残すよりも遥かに良い結果をもたらします。ノイズ増加を伴う周辺減光補正とは異なり、歪みが避けられないズームでは必須と言っても過言ではない機能。現代ズームとして補正前提の設計であることが必ずしも欠点であるとは思いません。
5. ボケ
5-1.前後ボケ
次はこの2本のボケ描写を比較します。同一被写体で極力画角とピン位置を揃えた上、絞りはF4.0でサンプル撮影を行いました。左がSEL2470GM、右がSEL24105Gになります。
このサイズだとぱっと見た限りそこまで違いが無いような、あえて言うならSEL24105Gの方は前ボケがちょっとうるさいような?程度でしょうか。一目瞭然レベルの絶対的な差異があるわけではなさそうです。
前ボケ等倍。
やはりSEL2470GMの方がよりスムーズで、SEL25105Gはそれに比べると若干輪郭がうるさい印象。ただあくまで比較すればの話であって、ズームであることを考慮すると十分悪くないレベルであるように思えます。
後ボケ等倍。
こちらは前ボケよりも更にスムーズな印象で、どちらも非常に良好。特にSEL2470GMはより滑らかな印象です。
ボケ味に関してはさすがGMと言うべきか、やはりSEL2470GMに分があるようです。ここから更にF2.8~F3.5が使えることを考えると、さすが大口径レンズと言ったところでしょうか。
ただ、SEL24105Gもズームレンズとしては十分なクオリティであり、解像度の高さと上手く両立できている印象。この点につてもバランスの優れたレンズと言えそうです。
5-2.玉ねぎボケ
ボケの滑らかさでも量(被写界深度)でも優れるSEL2470GMの弱点、それが光源をボカした時の玉ねぎボケです。
SEL24105Gに対し、SEL2470GMの方が同心円上にラインがはっきりと認識できることがわかります。
SONYはGMシリーズに高精度に研磨したXAレンズを用いることで、玉ねぎボケを抑え美しいボケ味を損なわず高解像度を実現したと謳っています。確かにボケ内部がノイジーな感じでグズグズしているSEL24105Gに対し、SEL2470GMの方が滑らかではあります。しかし下地が滑らかでクリーンなため、余計にラインが目立つ結果になってしまっているようにも思えます。
F2.8ではグルグルと渦巻くラインがクッキリと。
玉ねぎボケはあくまで光源をボカした場合にのみ発生するものです。そのため用途によっては全く問題になりません。しかし夜景などに多様する場合は非常に重要なポイントとなるため、このような性格があることは理解しておく必要があるでしょう。
6. 最大撮影倍率
次はどちらを選ぶか判断する上で大きなポイントとなるであろう、最大撮影倍率。これを両レンズの最短撮影距離で撮影し比較します。
これがT端70mmと105mmの差。この差は極めて大きなもので、SEL2470GMで「あともう少し」と感じる場面で強力な武器になります。
なお、これはSEL24105Gの70mmと105mmではなく、実際にSEL2470GMと交換しそれぞれのT端で撮影したJPEGを用いています。
重ねて比較するとこのような感じに。
SEL24105Gは寄れない傾向があるSONYレンズ群の中ではかなり大きく撮影することが可能であり、常用ズームとしての利便性にも優れています。テーブルフォトなど被写体が小さい場合にも大いに助かるでしょう。
ただ注意すべき点は、これはあくまで最大撮影倍率が高いということであり、最短撮影距離自体は変わらないということです。前述の通り両レンズの最短撮影距離は共に0.38mm。つまり24-70mm間では撮影倍率も全く同じです。あくまでそこから71-105mmのズーム分だけ倍率が上がるというだけに過ぎません。
なぜこの点を意識すべきかと言えば、最大撮影倍率が大きい=「大きく撮れる」と「寄れる」はイコールではないからです。
ミータ, 雄, 撮影時3歳7ヶ月, 体重5kg
例えばこの写真の焦点距離は36mm。なぜT端70mmではないのかと言えば、それは見た通りパースを効かせたかったから。こうした表現は焦点距離の短い広角側でなければできません。そのため最短撮影距離が重要なポイントになってくるのです。
SEL24105Gの最大撮影倍率は0.31と大きく、確かに被写体を大きく撮影することが可能。被写体が小さく今まで苦労させられた経験がある人にはとても嬉しい仕様です。
ただし「寄れる」というのはあくまで71-105mm間での話であり、全域でSEL2470GMより「寄れる」わけではありません。どうもこのレンズは「寄れる」という言葉が独り歩きしているような印象がありますが、実情を正しく理解しておく必要があります。
7. 結論
どちらも手にして後悔することのない素晴らしいレンズ。異なる性格を理解することでよりベターな選択をすることができるだろう。
かつてのEマウントレンズには方向性がはっきりしなかったり、品質のバラつきも指摘されるなど迷走感がありました。しかしGMレンズの登場以降、ようやく方向性も定まったようです。
そして2017年末発売の最新レンズであるSEL24105Gの完成度は高く、単純な光学性能の面ではSEL2470GMに見劣りしないレベルに達しています。その高い利便性と共に、撮影の強力な助けとなることでしょう。
一方SEL2470GMは一部でSEL24105Gに迫られる面を見せつつも、やはり最大性能部分ではさすがGMといった力を見せてくれました。そして質感など品位においてはGを全く寄せ付けません。単なる道具に留まらない、手にする喜びも感じさせてくれる素晴らしい作りです。
今年はTAMRONからも新製品が登場予定だったりと、今後Eマウントの標準ズームの選択肢は増えていきます。
しかし純正に関してはSEL2470GMが2016年、SEL24105Gが2017年と直近に発売したばかりということもあり、今後しばらくはこの2本がフルサイズ対応のEマウント標準ズームの座に着くことになると考えられます。
どちらにすべきか悩んだ時、この記事が判断の一助となれば幸いです。